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令和5年度 東京都立文京盲学校 学校経営計画

5文京盲第14号
令和5年4月1日

令和5年度 東京都立文京盲学校 学校経営計画

校長  山岸 直人

 

 本校は、明治41年(1908年)に「私立盲人技術学校」として築地本願寺内に設立され、今年度は創立115周年を迎える。この歴史と伝統は、東京都立特別支援学校の中で最長であり、いつの時代においても一人一人が希望する進路を実現するため、視覚障害教育の専門性の維持・継承・発展に努めながら、質の高い指導を行い、種々の教育活動を展開してきた。
 また、在籍する生徒への指導に限らず、東京都及び我が国における視覚障害教育のセンター校として、中学生や高校生、視覚に障害のある成人の方々への支援に加え、視覚障害や視覚障害教育に関する理解啓発にも多方面にわたって努めてきた。
 これらの歴史と伝統、実績を今後も継承するとともに、「不易と流行」の観点から常に改善や改革に努め、様々な人々の期待に応えていくことが、本校の使命であると考える。
 このことを念頭に置き、以下の通り学校経営計画を策定する。

 

I 目指す学校

自立と社会参加を目指し、希望する進路を実現する学校

 1 人権尊重の理念に基づき、一人一人を大切にした温かな教育を推進する学校
 2 生きる力の育成や希望進路の実現に向けて、個に応じた指導を学部・寄宿舎ともに推進する学校
 3 地域への貢献や共生社会の実現に向けて、外部支援、学校開放、交流等を推進する学校
 4 教職員の資質向上に向けて、組織的・計画的取組や研修・研さんを推進する学校
 5 着実な取組や生徒の成長を通して、保護者・地域・都民から信頼される学校

 併せて、「育てたい生徒像」として、以下の5点を掲げる。

 ・ 知識や技能を身に付け、活用することのできる生徒
 ・ 自己や他者を認め、お互いの人権を尊重することのできる生徒
 ・ 目標に向かって主体的に取り組み、何事にもチャレンジする生徒
 ・ 自分の進路の実現に向け、自己を知り、目標に向けて真摯に努力する生徒
 ・ 自分でできることは自分で行い、基本的生活習慣の確立を目指す生徒

 

II 中期的目標と方策

1 生徒の確かな成長を支えるために

(1)生徒理解

 アセスメントに基づいて、学校生活支援シートや個別指導計画をはじめとする諸計画を作成し、一人一人の教育的ニーズに応じた教育内容・方法の充実を図り、日々の教育活動を展開する。

(2)学習指導

 生徒の課題に応じた教材・教具を工夫・開発し、分かりやすい授業・学ぶ喜びを実感できる授業を展開するとともに、基礎的・基本的な学力や生活力の確実な定着を図る。

(3)生活指導

 いじめ・体罰の防止、防犯・防災、総合的な健康づくり等に関する取組を通して、安全・安心な学校づくりを更に進めるとともに、自己肯定感を高め、自他を思いやる豊かな心を育てる。

(4)進路指導

 進路に関する情報収集や見学・体験・実習等を通して、自立と社会参加を目指す心を育てるとともに、自己理解を深め、一人一人の適性や希望に応じた進路の実現に向けた支援を行う。

(5)特別活動

 一人一人のもっている力や日ごろの取組成果の十分な発揮、他者との多様な関わり合いができるよう、行事や活動の工夫を行い、主体性や社会性の伸長を図る。

(6)寄宿舎における指導

 学級担任や保護者と連携しながら、基本的生活習慣の確立を目指した指導を行うとともに、学年を超えた活動や自治的活動、行事等への取組を通して、社会性や自立心の伸長を図る。

(7)ICT機器の活用

 コンピュータやタブレット端末等のICT機器(関係する視覚障害者向け支援機器を含む)を活用し、機器の操作に習熟するとともに、情報収集能力や情報活用能力の向上を図る。

 

2 地域と共に成長するために

(1) 理解啓発と情報発信

 交流及び共同学習、近隣施設の利用、専攻科の臨床実習等を通して、視覚障害に関する理解充実を図る。また、学校Webサイト、行事の公開や施設の開放等を通して、積極的に情報を発信し、保護者はもとより、地域や都民からの信託に応える。

(2)センター的機能の発揮

 各種の相談・支援活動等を通して、視覚面に課題のある生徒・成人及びその保護者・家族への助言・支援を行う。また、他の盲学校や弱視通級指導学級と連携するほか、保健・医療・福祉・教育・労働等の各機関とのネットワークを拡充し、要請に対して的確な助言・支援を行う。

 

3 教職員の力量を高めるために

(1)学校運営と人材育成

 教育に携わる公務員としての自覚のもと、服務規律の厳正を図るとともに、組織的・計画的な取組によって、最大の教育効果を上げるよう努める。また、質の高い教育活動を行うため、経験や課題に応じたOJTや研修等の推進を通して、視覚障害教育の専門性を全教員が身に付ける。

 

III 今年度の取組目標と方策

 新型コロナウイルス感染症については、引続き、校内での感染を最大限に防ぐことと、実施可能 な方法等を検討し工夫を凝らして教育活動を推進していくこととの両立が不可欠である。
 感染症に関する状況の変化や、国(政府)及び東京都の方針等を踏まえながら、臨機応変に対応していくこととする。

A 教育活動の目標と方策

1 生徒の確かな成長を支えるために

(1)生徒理解

 ア 生徒のアセスメントを適切に行い、教育的ニーズを明らかにするとともに、個別指導計画や年間指導計画などの諸計画を作成する。
 イ 生徒の実態に即した教育環境の整備を行う。また、安全点検や校内美化を通して、安全面の維持や実態の変化に伴う改善を行う。
 ウ 週ごとの指導計画の作成と評価を通して、計画的な指導や取組を行うとともに、成果と課題を踏まえて、計画や手だての修正などに役立てる。
 エ 学校生活支援シート、個別指導計画の作成と評価においては、面談等を通して保護者との十分な連携と共通理解を図り、以後の指導を一層充実させる。
 オ 年度末の担任・担当者間の引継事項を明確にすることを通して、生徒に関する情報を確実に引継ぐとともに、指導の一貫性や連続性を確保する。

(2)学習指導

 ア 生徒が「興味をもてる」「よく分かる」「しっかり身に付く」と実感できる指導を行うとともに、今日的な教育課題を教育課程に位置付け、学習活動を着実に推進する。
 イ 生徒の課題に応じた教材・教具の活用、自作教材の作成と開発に努め、個に応じた指導の一層の充実を図る。
 ウ TOKYO ACTIVE PLAN for studentsを踏まえ、東京2020大会のレガシーの浸透を図る。特に視覚障害スポーツを通して、基礎体力の維持・増進を図り、健全な心身を育成する。
 エ 様々な困難やストレスの対処方法を身に付けるための教育(SOSの出し方に関する教育)を、生徒の実態に応じて推進し、適切な援助希求行動ができるようにする。
 オ 学習の到達状況について客観的な評価を受ける機会として、外部の検定・大会・展覧会などを積極的に活用する。
 カ 授業参観や各種行事など、保護者が実際の取組を参観できる機会を設け、保護者との十分な共通理解を図る。

(3)生活指導

 ア いじめ・体罰の未然防止に向けて、聞き取りや質問紙による状況把握を行うほか、日常からのわずかな変化も見逃すことのないように努める。また、相談機能体制を整える。
 イ 安全教育プログラムを活用した生活安全・交通安全・災害安全の指導を推進し、生涯にわたって安全な生活を送るための基礎を培う。
 ウ 年間を通して避難訓練を実施し、防災意識の更なる向上を図る。また、一泊二日宿泊防災訓練を実施し、被災時の望ましい心構えや行動の習得を図る。
 エ 白杖を用いた歩行指導、一人通学の指導を、一人一人の実態や通学方法に応じて、適切に行う。
 オ 総合的な体力・健康づくり、食育を推進する。また、食物アレルギー等への具体的対応については、保護者とも十分な確認を行い、組織的かつ確実に取組む。
 カ 医療的ケアを必要とする場合は、主治医による指示のもとに実施体制を整備し、医療関係者や保護者との緊密な連携をとりながら、安全かつ適切に医療的ケアを行う。

(4)進路指導

 ア 日々の係活動や分担された役割の遂行をはじめ、職業や進路に関する見学・体験を行うなど、キャリア教育の充実を図り、将来への展望と働く意義の理解を深める機会とする。
 イ 生徒の障害や適性、能力等を十分考慮し、学級担任、進路指導部、保護者、関係諸機関と綿密な連携を図りながら、進路指導を行う。
 ウ 希望進路の実現に向けて、個に応じた就業体験(インターンシップ)や現場実習など、希望先における体験機会の充実を図る。
 エ 普通科3年生の進路実現、専攻科3年生の国家試験の合格に向けて、放課後や長期休業日中の補習など、個別の指導を強化する。

(5)特別活動

 ア 各種学校行事(事前・事後学習を含む)の計画的かつ円滑な実施を通して、体験的活動の充実を図るとともに、集団活動の喜びや連帯感を深める。
 イ 地域の高等学校等との交流及び共同学習、専攻科の臨床実習等を通して、他者と関わり合うことの楽しさや意義を経験し、自己有用感の向上を図る。
 ウ 部活動や各種大会等への参加を通して、余暇活動の充実を図るとともに、生涯学習・スポーツの意欲を育てる。

(6)寄宿舎における指導

 ア 宿泊を伴う生活を通して、基本的生活習慣の習得と確立を図るとともに、学年を超えた集団での活動、舎友会による自治的活動の経験を通して、自立心の育成を図る。
 イ 行事等を通して、地域との交流を図るとともに、一部の行事への参加や保護者参観・面談等を通して、保護者との十分な共通理解を図る。

(7)ICT機器の活用

 ア 各種機器の利用を通して、効果的な活用方法を検討するとともに、関連する調査研究への協力依頼には、可能な限り応じる。
 イ 教科指導におけるICT機器の活用においては、必要に応じて教科書デジタルデータの活用を図る。

 

2 地域と共に成長するために

(1) 理解啓発と情報発信

 ア 地域の高等学校等との交流及び共同学習、近隣施設の利用、専攻科の臨床実習等を通して、視覚障害に関する理解の充実を図る。
 イ 学校Webサイトの定期的更新、学校公開、六ツ星祭(文化祭)などの行事、学校公開講座(ボランティア養成)、施設開放を通して、積極的な情報発信を行う。
 ウ 外部機関からの視察依頼や協力依頼には可能な限り応じ、視覚障害児・者、視覚障害教育に関する理解を図るとともに、更なる充実のための助言や情報提供を行う。

(2)センター的機能の発揮

 ア 各種の相談・支援活動等を通して、視覚面に課題のある生徒・成人及びその保護者・家族に対して、適切な助言・支援を行う。
 イ 他の盲学校や弱視通級指導学級との更なる連携を図るとともに、関係機関への訪問を積極的に行う。また、要請に応じて、生徒、保護者、教員等に対して、適切な助言・支援を行う。

 

3 教職員の力量を高めるために

(1)学校運営と人材育成

 ア <生徒理解>人権教育プログラムを活用し、人権尊重の精神といじめ・体罰の未然防止を徹底するとともに、生徒に関する教職員の共通理解を図る。
 イ <学習・生活・進路指導、特別活動>全教員の研究授業と評価、計画やマニュアル等の改訂、各種会議・研修等における意見交換などを通して、指導の改善に反映させる。
 ウ <学習指導>生徒の学力の実態を分析し、「授業改善推進プラン」を作成するとともに、その活用を通して、授業改善の取組を一層充実させる。
 エ <寄宿舎における指導>寄宿舎と学級担任・学部との密な連携に努め、相互の生活状況や課題の確実な共有を図る。
 オ <ICT機器の活用>各種機器の操作の習熟に努めるとともに、効果的な活用方法や視覚面から生じ得る活用上の課題を分析する。
 カ <教職員としての基本>服務規律の厳正、職務遂行の精度向上など、教育に携わる公務員に求められる基礎的・基本的な事項の徹底を図り、関連する事故の発生を0件とする。
 キ <学校資産の効果的な活用>教職員相互に連携しながら、学校予算や学校徴収金の効率的・効果的な執行と編成、学校施設・設備の保全と環境保護・省エネルギーに取組む。
 ク <教員の専門性向上>科ごと(普通科・専攻科・寄宿舎)の研究会等を通して専門性の向上を図るとともに、特別支援学校教諭免許状(視覚障害領域)の全教員取得を目指す。
 ケ <教職員のライフ・ワーク・バランス>教員の長時間労働の改善や学校教育の質の維持・向上等を図るため、教職員の在校時間の適切な把握と意識改革の推進等に取組む。
 コ <学校評価>学校運営連絡協議会等を活用し、PDCAサイクルに基づく学校評価を行い、学校運営、教育活動等の更なる充実・改善を推進する。

 

B 重点目標と方策

 (「項目」欄の番号・記号は、III-Aの番号・記号に対応する。)

項目 事項 目標(数値、時期等)
1-(1)
個別指導計画、年間指導計画の作成 100%
教室等環境整備の点検 月1回
  生徒の安全確保、事故の防止 随時、事故発生0件
週ごとの指導計画の作成と評価 週1回
学校生活支援シート、個別指導計画作成時の保護者参画 100%
引継事項の明確化と確実な引継 年度末
1-(2)
日本の伝統・文化教育、環境教育、芸術教育等の推進 通年
  主権者教育、消費者教育、金融教育等の推進 通年
  言語活動及び読書活動の充実(学校図書館等の活用) 通年
  外部人材・地域資源の有効活用による資質・能力の育成 通年
自作教材の作成と活用 全員2点以上
視覚障害スポーツに関する授業(学校2020レガシー) 年3競技以上
SOSの出し方に関する教育 年1単位時間又は日常の指導
実用英語技能検定、日本漢字能力検定等の受検の推奨 通年(6回)
  各種スポーツ大会、作品展示会、音楽発表会等への参加の推奨 通年(6回)
授業参観 年3回
1-(3)
いじめ・体罰の状況把握 年4回、発生0件
  心の健康相談による、生徒及び保護者支援 月1回
セーフティ教室 年1回
避難訓練 月1回
  一泊二日宿泊防災訓練 年1回
登下校通学指導、一人通学指導 年度当初及び随時
給食におけるリクエスト献立 月2回程度
  給食等におけるアレルギー対応 随時、関連事故発生0件
医療的ケア対応 随時、関連事故発生0件
1-(4)
進路先見学会の実施 各学年2回以上
進路指導に関する保護者向け説明会 各学年2回以上
就業体験(インターンシップ)、現場実習 希望進路によって年1回以上
長期休業中の補講、補習、実習等 40講座以上
  普通科3年生の進路実現 100%
  専攻科3年生の国家試験の合格 100%
1-(5)
儀式、文化、集団宿泊的行事の円滑な実施 通年
  主体的な学校行事への参画 生徒満足度80%以上
地域交流校との交流 年1回
部活動の充実 加入率90%以上
1-(6)
舎友会活動(運営委員会主催行事) 年2回
  青年期活動I・II 各月1回
寄宿舎参観 年1回
1-(7)
ICT機器(特にタブレット端末)やデジタル技術の活用 随時
  点字ディスプレイの活用 希望者全員
教科書デジタルデータの活用 希望者全員
2-(1)
地域交流校との交流(1(5)イの再掲) 年1回
学校Webサイト(ホームページ)の更新 年200回(Twitterを含む)
  学校紹介リーフレット作成・配布 2000部
外部機関からの視察依頼・協力依頼への対応 随時
2-(2)
コーディネーター等による関係諸機関等への相談支援 年100回(入学相談対応含む)
「東京都ロービジョンケアネットワーク」への参加・協力 年間を通じて随時
3-(1)
いじめ対策委員会 年2回
  いじめ、体罰防止、自殺予防等に関わる校内職員研修 年2回
全教員の研究授業と評価 年1回又は所定回数
  アレルギー対応委員会、アレルギー研修 月1回、年1回以上
  学校保健委員会・研修会 年2回
  衛生指導、感染症予防及び健康教育に関する研修 年1回
  不審者対応訓練 年1回
  防災教育推進委員会(避難訓練の参観を含む) 年2回
授業改善推進プランの作成、授業研究連携校との相互連携 年5回
寄宿舎と学級担任・学部との情報交換 随時
ICT機器を活用した授業の学習効果の検証 年2回
服務の厳正、個人情報の保護等に関する研修 年3回
  教職員の言葉かけ、服装等の身だしなみの改善 随時
  企画調整会議、主幹会議 いずれも週1回
  進ちょく表による学校経営計画の進行管理 年6回
適正な学校予算の執行 一般需用費の学校経営支援センター契約率:50%以上
  光熱水費に係るメーターの検針 毎日
  不要箇所の消灯、ガス閉栓等 毎日
新転任者研修 年40回
  科ごとの研究会 月1回
  視覚障害教育夏季専門研修への参加 延べ80人以上
  外部講師を招聘した教育研修会 年3回
  特別支援学校教諭免許状(視覚障害領域) 取得済80%、認定講習未受講0%
教職員の在校時間の縮減 「定時外在校45時間/月」超過者:10%未満
  学校閉庁日 年5日
  定時退庁日 月2回
  職員健康診断受診率 100%
学校運営連絡協議会 年3回
  保護者評価(アンケート) 回収率90%、満足度80%
  授業評価協議会 年3回
  生徒による授業評価 年2回
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