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令和4年度 東京都立文京盲学校 学校経営報告

4文京盲第1760号
令和5年3月31日

令和4年度 東京都立文京盲学校 学校経営報告

校長  山岸 直人

 

1 今年度の取組と自己評価

 前年度に引続き、「自立と社会参加を目指し、希望する進路を実現する学校」を「目指す学校」として掲げた。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の状況を踏まえ、徐々に緩和されつつも、内容や規模などを制限せざるを得なかった取組も多い一年間ではあった。しかし、教職員一人一人が自己の職責を自覚し、安全・衛生・健康などの面を最優先しつつ、視覚障害教育の専門性に基づく指導とその維持・継承・発展を図るとともに、教育活動をはじめとする学校運営全般に組織的に取組み、以下の成果や結果が得られた。
 

(1)教育活動への取組と自己評価
 ア 新学習指導要領の実施に向けた取組

  • 各科第1学年の生徒に対し、観点別学習状況の評価を実施した。次年度以降も第2・3学年に順次拡大するとともに、評価規準及び評価方法の精度を向上させる。

 イ 新型コロナウイルス感染症の感染・拡大防止策の継続

  • 新型コロナウイルス感染症に関する状況の変化や、国(政府)及び東京都の取組状況等を踏まえながら、臨機応変な対応に努めた。集団での活動においては、場の広さや生徒間の距離を十分に確保したうえで実施した。

 ウ 人権教育の推進

  • いじめ・体罰・性暴力等に関する研修や実態調査を通して、未然防止と人権尊重の精神に基づく指導に反映させた。また、服務事故防止研修等を通して、全教職員が服務の厳正に十分留意して、職務を遂行することができた。次年度以降も意識や態度の更なる徹底を図る。

 エ 生徒の障害特性に応じた指導の充実

  • 生徒の実態把握のもとに、個別指導計画や年間指導計画などの諸計画の充実を図りながら、日々の指導に取組むことができた。
  • ICT機器(関係する視覚障害者向け支援機器を含む)や一人1台端末の活用の充実を図ってきたが、生徒の実態等により活用状況の差異があることは否めない。次年度以降もデジタル教材の開発と活用に努める。

 オ 生徒の実態及び課題に応じたキャリア教育の推進

  • 進路に係る企業や施設への実際の訪問も徐々に再開することができ、積極的に職場実習や見学等を実施した。普通科第3学年の生徒のうち3名が大学進学、1名が専攻科進学、2名が企業就労を果たしたほか、専攻科第3学年の生徒は全員が国家試験合格を果たした。

 カ 研究・研修活動の活性化と専門性の高い授業の推進

  • 全教員による研究授業を実施したほか、生徒による授業評価や授業評価協議会を通して、授業改善に役立てた。また、各科の研究・研修活動を研究集録にまとめた。

 キ 安全・安心な教育環境の整備

  • 生徒の実態に即した教育環境の整備や学校医・主治医との連携により、東京都教育委員会への事故報告件数は0件であった。インシデントの検証と校内での情報共有を通して、次年度以降も良好な教育環境の維持・向上に努める。

 ク 組織的・機能的な学校運営の推進

  • 夏季休業日を中心に、学校閉庁日を実施した。日常的な時間外在校時間(月45時間超過者:約20%)の縮減については、継続的な取組が必要である。

 ケ 東京都及び全国視覚特別支援学校のリーダー的役割の推進

  • 関東甲信越地区視覚障害教育研究会の事務局校として、企画・運営を行った。また、視覚障害教育研修会連続講座、視覚障害教育に携わる教員のための点訳講習会、UEB移行英語点訳研修会を実施し、全国規模での参加者があった。

 コ 視覚障害教育のセンターとして支援活動の推進と相談活動の充実

  • 専攻科オープンキャンパスを初めて開催し、参加者から好評を得た。次年度以降も継続し、保健理療及び理療の魅力を発信するとともに、視覚障害教育への理解促進を図る。
  • 東京都ロービジョンケアネットワークの一員として、東京都眼科医会の催事にてパネル展示を行った。今後もより具体的な連携を図る。

 

(2)重点目標への取組と自己評価

※ 評価の凡例 … A:十分に達成できた     B:おおむね達成できた
        C:あまり達成できなかった  D:ほとんど達成できなかった

1 人権を尊重した教育の推進
(ア)いじめ、体罰防止、自殺予防等に関わる校内職員研修             年2回 A
(イ)教職員の言葉かけ、服装等の身だしなみの改善               全教職員 B
2 学習指導
(ア)ICT機器(特にタブレット端末)やデジタル技術の活用             随時 B
(イ)東京2020大会のレガシーの浸透(スポーツ志向、障害者理解、豊かな国際感覚) 通年 B
(ウ)資格取得の推奨(英語検定、漢字検定等の受検推進)              通年 A
(エ)長期休業中の補講、補習、実習等                    40講座以上 A
(オ)研究授業                普通科:年35回以上 専攻科:年20回以上 B
(カ)視覚障害教育夏季専門研修への参加                  延べ80人以上 C
(キ)外部講師を招聘した教育研修会                       年3回 A
3 進路指導
(ア)普通科:3年生の進路実現                         100% B
(イ)専攻科:あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師国家試験の合格      100% A
(ウ)進路指導に関する保護者向け説明会、進路先見学会の実施   いずれも各学年2回以上 A
4 生活指導
(ア)心の健康相談による、生徒及び保護者支援の実施                通年 A
(イ)SOSの出し方に関する教育               年1単位時間又は日常の指導 A
(ウ)セーフティ教室、一泊二日宿泊防災訓練の実施            いずれも年1回 A
(エ)個別ニーズ対応のケース会議の実施                年度当初及び随時 A
(オ)登下校通学指導及び一人通学指導の実施              年度当初及び随時 A
5 特別活動
(ア)部活動の充実                           加入率90%以上 A
(イ)地域交流校との交流                            年1回 D
(ウ)主体的な学校行事への参画                   生徒満足度80%以上 A
6 健康・安全
(ア)生徒の安全確保、事故の防止                  事故の発生:年0件 A
   安全指導日における教室等環境整備チェック                 月1回 A
(イ)給食におけるリクエスト献立                      月2回程度 A
(ウ)食物アレルギー調査、アレルギー研修                  年1回以上 A
   学校保健委員会・研修会                          年2回 A
(エ)衛生指導、感染症予防及び健康教育に関する研修会の実施           年1回 A
(オ)職員健康診断受診率                            100% B
7 特別支援教育のセンター的機能
(ア)学校Webサイト(ホームページ)の更新                    通年 A
(イ)学校紹介リーフレット作成・配布                     2000部 A
(ウ)コーディネーター等による関係諸機関等への相談支援(入学相談対応含む)  年100回 A
(エ)「東京都ロービジョンケアネットワーク」への参加・協力      年間を通じて随時 C
8 学校経営・組織体制
(ア)企画調整会議、主幹会議                      いずれも週1回 A
(イ)在校時間の縮減(一日あたり11時間以内を目途)                通年 B
   定時退勤日                                月2回 A
(ウ)服務の厳正、個人情報の保護等に関する研修会                年3回 A
(エ)適正な学校予算の執行      一般需用費の学校経営支援センター契約率:50%以上 A
(オ)生徒による授業評価                            年2回 A
   授業評価協議会                              年3回 A

 

2 次年度以降の課題と対応策

(1)新たな「感染症対策と学校運営の両立」

 新型コロナウイルス感染症は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(通称:感染症法)上の分類が令和5年5月から変更される見通しとなった。様々な制約の緩和が一層進むものと予測されるが、単純に令和元年度以前(いわゆる「コロナ前」)と同様とするのではなく、これまでの約三年間の状況を踏まえた検討を行いつつ、教育活動を進めていくことが必要である。

(2)新学習指導要領の確実な実施

 複数年にわたる教育課程プロジェクトでの検討により、初年度はおおむね円滑に実施することができた。次年度は、年次進行により改まる各科第2学年の教育課程を確実に実施する。また、観点別学習状況の評価における評価規準及び評価方法の精度を向上させる。

(3)ICT機器やデジタル技術の更なる活用

 オンライン授業や各行事のオンライン配信、統合型学習支援サービスを活用したアンケートの実施など、積極的に活用することで活用技術の一定の向上が見られた。次年度も、更なる活用を図りつつ、視覚面から生じ得る活用上の課題を集約し分析するなど、デジタルサポーターとの連携のもと、検討や実践を行う。

(4)専攻科の更なる魅力の発信(広報活動の充実)

 専攻科オープンキャンパスの継続実施や学校Webサイトの活用により、保健理療及び理療の魅力を発信する。また、東京都ロービジョンケアネットワークなどにおいて更なる連携を図り、特に、これまで視覚障害者同士の接点がなかった成人が相談し・安心できる場所となるように努める。

(5)働き方改革の推進

 これまでも、教職員の業務改善、会議等の精選・効率化、教職員の在校時間の縮減等に取組んできたが、十分な成果を得るには至っていない。教職員の出退勤システムにおける集計を基に日常的な注意喚起を行うほか、各部署での業務内容を精査し、業務削減に向けた検討を進める。

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